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2012-07-06-Fri-19-59

大人気の女性かばん作家を取材しました

7月3日(火)

ラジオ大阪の仕事。
オリジナルバッグブランド『kabott(カボット)』を運営されているかばん作家、川角章子さん(かわすみ・しょうこ)を取材した。

川角さんが作るバッグ、いまたいへんな人気なのだ。

川角さんは先ごろバッグの作品集『絵本の森でうまれたバッグ』(白泉社)を上梓された。

imageかばん


ブランドごとの本はあっても、手作りかばん作家個人の作品集が出版されることは、そうそうあることではない。

『kabott』のバッグはデザインから完成まで、すべて川角章子さんが手掛けるフルハンドメイド。
先ずはその愛らしいにもほどがある作品の画像をご覧になって、のたうちまわっていただきたい。

▼川角章子さん手作りのバッグ
http://8257.teacup.com/tomokiy/bbs/40
http://8257.teacup.com/tomokiy/bbs/41

なんというかわいらしさ。
おっさんの僕にすらかすかにある乙女心がざわざわ騒ぎ出す。
プリティ・ガイガーカウンターがビンビンに反応して止まらない。

しかも単にかわいいだけではない。
ほどこされたアップリケがどこか切なく、さびしげ。
子供の頃に観た、藤城清治さんの影絵を思わせる、哀愁を帯びたタッチなのだ。

「かわいいだけ、甘すぎなだけ、ハッピーなだけのデザインは苦手なんです。翳のある寓話のような世界が好き」
川角さんはそう言う。

さらに川角さんが作りだすバッグは、他の作家のものとは大きく違う点がある。
それはバッグを作る前に、ストーリーを考えること。

「この“ひなぎく”というバッグは、ひなぎくの花に恋をしてしまった小鳥の物語を描いているんです。好きになってしまったけれど、花の命は短くて、そして鳥と花では、あまりにも棲む世界が違っていて……」

そんな哀しいサイドストーリーが、バッグのバックにあったとは。
むかし「あなたと私では住む世界が違う」と言われてフラれた経験を持つ僕は、鳥への感情移入を禁じ得ない。
バッグにありったけの想い出を詰めこんで、パリあたりへ逃避行したくなる。


川角さんは島根県の出雲市出身。
大学進学とともに大阪へやってきた。

川角さんは、幼稚園の頃にすでに針と糸を使い、布でうさぎのぬいぐるみを縫い上げてしまうほど、ものづくりが好きな子供だったという。
しかも洋裁の本などは一切見ずに作ったというから、根っからのオリジナル手芸っ娘だ。

「学校の授業でも、美術の時間より、裁縫や料理ができる家庭科の時間が好きでした。美術の時間って、教える先生の美意識を押し付けられるじゃないですか。『なんであの子の作品が褒められるんだろう。ぜんっぜん納得できない』って、いつも思ってました(笑)」

高校時代の川角さんは、人形やぬいぐるみが好きで、フリッパーズ・ギターが好きで、初期のスピッツが好きで、休日はお菓子を焼くのが好きという、当時きっと全国にいたローカルなオリーブ少女。

ただひとつ違っていたことは、近所の老人たちが結成した「発明クラブ」という木工サークルに所属し、おじいさんたちの手ほどきによって大工道具一式を使えたこと。

木を切り、釘を打ち、かんなをかけ、高校時代ですでに家具を自作していたというから、すごいパワー。
オリーブ少女というよりポパイだ。

そうして彼女は島根県を出て、大阪芸大の建築学科へと進む。
かばん作家が、なぜ建築?(あるいは建築家が、なぜかばん?)。

「島根の家が不満でいっぱいで(笑)。架空の家の間取りを考えるのが大好きだったんです。建築学科に進めば、理想の家が造れるかなって」

そうして彼女は、バイトをする間もなく課題に追われる日々でありながら「思っていたよりずっと楽しく」建築を学び、なんと一級建築士の資格を得るまでに。

「楽しかったけど、課題が多くてバイトできないんで、貧乏でした。だから安いミシンを買って、ブラウスくらいなら自分で作ってましたね。あとカバンを作って、学祭のバザーで売ったりして、お小遣いを稼いでました」

建築士とかばん作家では、あまりにかけ離れた世界のように思う。
が、ミシン掛けと設計図を引くことが生活の中で密接につながっていたこともあり、ものをつくるうえで、自分のなかではあまり差異はないのだという。

島根県で渋谷系のサウンドを聴きながら理想の間取りを夢想していたひとりの女子は、間違いなく島根よりカントリーな大阪芸大の隣にある学生マンションで暮らしながら、ミシンを踏んでいた。

創作力とは妄想力。
妄想力とは集中力。

娯楽がたくさんあって、夜遊びがたくさんできて、お友達もたくさんいて、そんな状況の中では「作品」は生まれないのだろう。
妄想が作品へと飛翔するまでには、夜な夜な小山田くんや小沢くん(not.一郎)に想いを馳せながらじっくりと手を動かす、長い長い発酵の時間が必要なのだ。

渋谷系と呼ばれた文化は、当の渋谷よりも、地方に住む若者たちとのあいだで化学反応を起こした。
そして、こうして作家として発芽し、花開き、新しい文化を切り拓いている。
地味で内向的なイメージをもたれる文化系、造形系学生たちの底力を、そして逆襲を見る思いだ。

そういえば。

古民家を自らの手で改装してカフェを造る若者たちがいる。
朽ちつつある家屋との闘い。
とんでもない重労働であり、艱難辛苦の連続である。

しかしそれらを完遂している多くの若者は、ひ弱な「草食系」と呼ばれている人たちだ。
実態は肉食系よりよく動き、パワフルに新文化を創りだす。

やっぱり肉より草のほうが栄養あるんだ。
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