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2012-07-19-Thu-10-14

冷たいゼリーが人気の喫茶店を取材しました

7月14日(金)

ケーブルテレビJ:COM『8時です!生放送!!』の仕事で、祇園祭の宵山でアガりまくっている八坂神社周辺のリポーターをやってきた。

僕は京都に越して来てまだ4ヶ月しか経っていない京フェスのビギナー。
これまでテレビのニュース番組などではなんとなくチラ見していた祇園祭をリアルタイムで体験するのは初めてだ。

聞きしに勝る、ものすごい人出。
京阪の祇園四条駅から、もこもこ湧いてくる、人、人人、人人人、人人人人。

決して幅広くはない四条通りのアーケード商店街で、肌を焼いた若者どうしがぺたぺたとくっつき、褐色の団子状に変化してゆく光景は、ゲームのピクミンを思わせた。

人間が一方向へと押し寄せているときって、「むにょー」「にょめにょめ」といったヘンな音が本当に聞こえるものなんだな。
さすが擬音祭。

商店街の方曰く、昔はこれほどまでえげつなく混まなかったし、こんなに殺伐とした圧迫感や圧縮感を伴うことはなかったんだそうだ。
そしてこの日、若者が四条通りのコンビニ店内で暴れ、いったん店を閉めざるを得ないこぜりあいがあった。

ちょうど京都からさほど遠くない滋賀県大津市でのいじめ自殺で事件のむごさが明らかにされはじめた時期。
わざわざ祇園祭でケンカ祭を繰り広げ、先人の苦労をZEROにしてしまう若者たちを見て、彼らのストレスや鬱憤が臨界点に達していることが皮膚感覚で伝わってきた。
ガス抜きに、八坂神社の境内で戦国武将のコスプレをして敵と戦える和のサバイバルゲームスペースを特設したほうがいいんじゃないだろうか。
「祇園で勝者の鐘の音を響かせるヤツは誰だ!」みたいなキャッチコピーで。

しかしそんな喧騒さかまく四条通りだが、ちょっとわきの路地へと足を踏み入れると、とたんに人通りが少なくなる。
石畳が敷かれ、しっとりムードが横溢した初音小路なんて、比喩でもなんでもなく本当に、ひとっこひとり歩いていない。

祇園祭のメインストリートからわずか20メートルも離れていないのに、まさか無人の通りにでくわすとは。
京都らしい風景といえば、むしろこっちじゃないかと思うんだが。
頭のなかが疑問祭。

そんな毛細血管のような通りが、この街にははりめぐらされている。
しかしこうして喧騒から逃れ、人目を避けることができる通りがあるのが、きっと祇園のよいところなのだ。
わけあって正体を知られたくない人たちが、一瞬だけ素顔の自分に戻れる。

喫茶店「切通し進々堂」も、そんなしめやかな通りに建つ、人ごみ苦手なタイプの方にはうってつけのお店。
「切通し」とは、店が建つ路地の名前。
この日は目の前で祇園祭が繰り広げられているというのに、店内はのんびりムード。
喉が渇く猛暑日に辿りついた、泉のようなスポットだ。

「うちは祇園祭より、都をどりの日のほうが忙しいから」
ご主人はそう言う。

「都をどり」とは、舞妓さんが踊りを披露し、京都に春の訪れを告げる風物詩。
確かに店の壁面には、舞妓さんが都をどりの季節に馴染みの店へ配るうちわがびっしり。
舞妓さん版ハードロックカフェ状態。
舞妓さんたちがお茶でほっとひといきつき、素顔の自分に還れる隠れ家的なお店なのだ。

DSC03487 - コピー


そんな彼女たちが、おけいこ帰りに楽しみにしているのが、3層に分かれた自家製の冷たいフルーツゼリー「みどり~の」「あかい~の」「きいろい~の」。

DSC03480 - コピー


思わず「……トツギ~ノ」と続けたくなるが、35年も前からあるレトロなスイーツだ。

これは「これからゼリーがブームになる」と踏んだ先代店主が考案したもの。
舞妓さんのあいだで「口紅を落とさずに食べられる」と口コミで広がり、祇園のおやつとして定着した。
以来こうして年中、ショウケースで宝石のような輝きを放っている。

DSC03485 - コピー

そもそもは「メロンゼリー」「いちごゼリー」「レモンゼリー」と果物の名前をつけていた。
ところが、舞妓さんのひとりが「あの、ほら、あれ、みどり~の、ちょうだい」と言ったことから、独特な京ことばアクセントを店主が気に入り、これを活かした商品名に変わった。

ぷるんというより、ぶるん! とした、厚ぼったい弾力。
明快に主張する甘みが、気温の高さに負けて疲れた身体にありがたい。

使うフルーツは新鮮な高級品。
旬によって内容が変わる。
僕がいただいた「みどり~の」、この日はさくらんぼの「佐藤錦」が使われていた。

こういったしずやかな風情を好むのは舞妓さんに限らず、芸術家や俳優にもこの店のファンは多い。
小澤征爾は演奏で京都を訪れるおり、こちらのゼリーをとても楽しみにしているとのこと。

「あと、お亡くなりになった竹脇無我さんも、お芝居で京都に来られた際はいつも『きいろい~の』をめしあがっておられました。

それを聞いて、竹脇無我さんが故人であることを知った……。

ゼリーだけではなく、お嬢さんが焼くなんともやさしい“おうち味”なロールケーキや、分厚いオムレツをサンドした玉子トーストもデラ絶品。
祇園名物、長蛇の行列ができる某抹茶スイーツのお店もいいけれど、この穴場店でゼリーを食べさせっこしながら、しっとり背徳の恋に堕ちるのもオツなものだ。

話は変わりますが、こんなふうに放送作家にリポーターをさせるのは、いいと思いますよ。
自分でロケハンも行くし、安い金で動くからおトクだし、インサート撮りのあいだはスタッフとして働くし(と、さりげなく営業)(←ぜんぜんさりげなくない)。
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