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2012-10-25-Thu-13-30

精密! 入魂! ミニチュア家具の深奥な世界

滋賀県内の、主にショッピングセンター「平和堂」で配布される無料の情報誌『GO GUY!(ゴーガイ!)』。
この『GO GUY!』で今月号から、滋賀県内の気になるスポットを訪ねて取材する「滋賀探偵団」なる連載をやらせていただけることになった。
毎月25日に配布されるので、滋賀県内の「平和堂」に立ち寄られたおりは、ぜひ手にしてみてほしい。

この連載の取材で先日、標高1377メートルを誇る滋賀県の最高峰「伊吹山」の、大清水という集落へ行ってきた。
ここは日本名水百選に数えられた霊水が湧く、狭路が迷路のように入り組んだ山里だ。

そしてこの大清水には、ひとりの名うての家具職人が工房を構えている。
しかもその工房には作品があまた並んだギャラリースペースがあり、一般に開放されている。

列しているのは、ほとんどが椅子。
どの家具も北欧伝統の技法とデザイン、美意識を踏襲した、ため息つくほどおしゃれなものばかり。

浜田工房画像1候補04
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……と、ファインダー越しに見る限り、よくある展示スペース。
しかし実はここに設置された家具はすべて、現物を1/5サイズに縮小して制作したミニチュア

浜田工房画像5候補5

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浜田工房画像2候補10


その数、およそ100脚!
あまりの量に、逆に自分の身体が5倍になったかのような錯覚をおぼえる。

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これを作ったのは現在60歳、キャリア42年という大ベテラン木工職人。
ひたすら「僕は作家ではない。依頼されたものは何でも作る職人だ」と繰り返しておられた。
自分が好きなものを作るのではない。
スキルアップをするために難しい技に立ち向かった結果が、ここにある模型家具なのだと。

かつては椅子のデザイン事務所におり、プレゼン用に1/5サイズのミニチュアを作り続けた。
7年間の在籍期間でなんと600脚以上を制作したというから驚異的な速度と物量だ。

しかしプレゼンは「企業秘密」。
守秘義務があるため、提示し終えた椅子のミニチュアは、外部の目に触れることなく、たちまち廃棄処分される。

この職人さんは、魂を込めて作ったミニチュアが廃棄されることに胸を痛め、フリーランスになってから、「敬愛するデンマークの椅子作家たちの作品をミニチュア化して残したい」と考えた。

以来35年前から、ハンス・Jウェグナーやル・コルビュジエ、チャールズ・イームズなど有名デザイナーズ・チェアのミニチュア化を始める。

作業は精神世界へ踏み込むほどの細密な技術と、執念に裏打ちされた集中力を要した。
単に小さくするだけではなく、接合部も正確に、使う素材もできるだけ同じものを。
金属も皮革部位も一切外注せずに自らの手でこしらえ、さらに木目まで本物の1/5サイズに近づけようというから、職人魂がマッドな域にまで達している。

▼ハンス・Jウェグナーの「ザ・チェア」、本物とミニチュア
浜田工房画像3候補1

▼マッキントッシュ(スティーブ・ジョブズ、ではなく家具デザイナー)の名作
浜田工房画像4

浜田工房画像5候補7

「木目まで似せる。だから、材料もそうとうな量が必要。素材も1/5、というわけにはいかないんですよ」。

そうして遂にデンマークへ表敬訪問を果たし、憧れのハンス・Jウェグナー本人から「パーフェクト」という評価とともに、ミニチュア制作者として認定された。

この職人さんはかつて、大阪市内で工房を構えていた。
「作業に集中したい」という想いから、この森閑の地へとやってきた。
冬ともなれば雪に閉ざされるこの地に移り、7年になる。

「田舎暮らしをしたい」という人は多い。
けれど野を選ぶ人と、あえて山を選ぶ人では、人種が違うように思える。
山を選ぶ人は、のどかさより、むしろ自分を鍛える峻厳さを求めるのだろうなと。

そして、こういった孤高の人々を包み込む滋賀県というくにの底知れない魅力に、いま虜になりつつある。

http://www3.to/tomokiymail (吉村智樹事務所)
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