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2013-01-19-Sat-22-51

駅のそばで食べる駅そば


寒風吹きすさぶ駅構内のオアシスといえば、駅そばです。
無意識におもしろ内股になるほど寒さが厳しいプラットホーム。
そんな状況下でいただく、湯気もうもうメガネくもりまくりの駅そばは、なによりもごちそうです。

そういうわけで「ご当地『駅そば』劇場 48杯で味わう日本全国駅そば物語」(鈴木弘毅著 交通新聞社新書)を読みました。

これは駅構内や駅前でいただけるご当地ならではの立ち食いそばを求め、全国を旅した記録。

つるつるっと読みやすく、かつ要所&要所で泣かせるあたたかな構成は、まさに七味を効かせた立ち食いそばの味わい。
新越谷駅の「磯あられそば」や鳥栖駅の「あすぱら天そば」など、トッピングが珍しいそれを味わうためだけに旅に出たくなる、そんな一冊です。

この本で何度も念を押されるのが、具は単なる「乗ってるもの」ではないというという哲学。
具には染み出るエキスや風味をおつゆに残してうまみを増す効果があり、トッピングが風変りだと、そば全体の味までもが未経験の領域へ踏み込むというのです。

なるほど、確かに。
いつも利用している京阪電車の中書島駅。
ここで食べられる「あぶりきつねそば」は、直火で炙られた薄揚げの焦げ目とだしがスリリングに侵犯しあい、これまで経験がない味覚のステージへといざなってくれます。
あぶりLOVE!
アヴリル・ラヴィーン!

僕は……「日本全国」と銘打たれた本を読みながらも、懐かしく思い出すのは東京の、JR「高円寺」駅すぐにある「富士そば」。

高円寺に住んでいた10年の間、最低週2、多い週は毎日カウンター席に腰かけ、熱いそばを、時には「ミニカレー」もつけて食べていました。

駅の立ち食いそばのおいしさに開眼したのは、上京し、高円寺で暮らすようになってから。
生醤油そのもの味が前面に立ったディープ・パープルな色のおつゆには、細くて滋味が深いそばがとてもよく合った。

31歳で上京するまでは大阪におり、駅そば、というかそば自体を食べるなんてありえなかったな。
駅では天かすたっぷりのうどん以外、食べようと考えたことがない。
今でも、やさしいまるみがあってうっすら甘い大阪のおつゆは、いい意味で雑味があるそばには合わないと思う。

ひとり暮らしで、いたたまれないほど寒い夜、朝の3時から6時まで3時間、富士そばのカウンターで熱いわかめそばをすすりながら、本を読んで過ごしていました。

店内には同じように始発を待ってだらだらと長居するバンドマンがたくさんいた。
ここだと、もっとも安くで時間をつぶせますから。

高円寺の北口ロータリーにある富士そばは、さまざまなライブハウスの中間に位置していました。
ハードコアパンクの「20000V」、ノイズやジャンクの「ペンギンハウス」、サイケのライブが多かった「SHOW BOAT」、ブルースの「JIROKICHI」、ジャズの「アローン」、モンドミュージックの「マニュアル・オブ・エラーズカフェ」、キチガイ音楽全般の「無力無善寺」etc。

バラバラなジャンルのアーティストが一堂に会す奇跡の空間が、始発まで数時間の、この富士そばでした。
たちこめる濃いかえしの香りを、住民たちは「紫のけむり」と呼んでいました。
まさに“クロスオーバー”サウンドな場所であり、人間交差点。
そういえばこの富士そばの前で、中澤裕子と灰野敬二がすれ違ったのを見たことがある。

僕が駅そばと聞いて旅情をかきたけたれる街は、地方ではなく東京なんです。
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